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媚びを売るのは悪いこと?なぜ媚びる人がいなくならないのか考えてみた

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以前、こんな相談を受けたことがあります。

 

「裏ではひどいことを言って回っている人でも、

 上司に媚びるだけで評価されるのが納得いきません。

 自分はそうなりたくないと思って、みんなに平等に接していても

 それがみんなに伝わらなくてつらいです。」

 

 

 

 

わかる。

 

 

 

上の立場の人と話すときは、別人を演じる人。

別人度合いが大きければ大きいほど、寸劇を見せられているこちらとしては不快な気持ちになります。

自分も同じ人種だと思われないよう、行動に気を遣いますよね。

 

 

この『媚び』というもの。

奥が深そうなので、しっかり考えてみたいと思いました。

 

 

媚びとは何なのか

媚びを売るとは、

相手の機嫌をとるためにへつらうこと、あるいは上の人に気に入られようとすること。

 

へつらうとは、

気に入られるようにふるまう。お世辞を言うこと。

 

お世辞とは、

心にもないことを愛想のために言うこと。

 

つまりは、

相手に気に入られるために行動したり、思ってもないことを言ったりして機嫌を取ろうとすること

 

が『媚びを売る』ということですね。

 

 

媚びはなぜ不快なのか

誰かに気に入られるための行動が、なぜ不快なのでしょう。

 

人によって態度を変えると不快なのか

よく聞く話としては、『人によって態度を変える』というのがありますね。

しかしながら、人によって態度を変えるのは万人がしているような気がします。

 

 

 

説得しないといけない場面、仕事を教えてもらう場面、雑談する場面、仕事の成果を報告する場面など、

自分が置かれている立場で、伝え方や態度は変わっているはずです。

 

 

 

自分の立場は、誰といるかでも少しずつ変わっていくもの。

「初対面の人」と「毎日顔を合わす人」とで多少なりとも対応を変えるように

「同期にタメ語を使う」としても「上司には敬語を使う」ように

誰しもが人によって態度を変えているのです。

 

 

 

心理学でも、『環境によって性格がつくられる』であったり、

『所属するコミュニティで性格が変わる』と言われています。

誰とどこにいるかで、人は変わるものなのですね。

 

 

なので、『人によって態度が変わる』ことは当たり前であり、すべてに対して不快に思うわけではないでしょう。

態度を変えること全般に嫌悪感を持っていたら、かなり生きづらくなってしまいます。

 

 

不快な媚びとは

では、何が不快なのか。

それは、”自分が”気に入られるため”だけ”の行動をしている場合でしょう。

「媚びている相手」や「周りの人たち」のためではなく、自分だけのために行動することが不快に思われるのです。

 

自分の考えを変えてもいい、嘘をついてもいいから

気に入られようとする行為は、人をだましているのと同じ。

倫理に反している行動を目の前で取られ、不快に思わない人は少ないでしょう。

 

 

良識のある人が人によって態度を変えるのは、

自分も相手も、みんなが働きやすい環境をつくるためだと思います。

よくない媚びは、他人の力と時間だけを奪おうとすることです。

相手の気持ちはどうでもよく、自分だけが利益を得るためだけの行動が不快な媚びになるのです。

 

  

媚びる人が消滅しないのはなぜか

媚びが不快なものだと多くの人が感じているはず。

本当に気に入られたいのであれば媚びないほうがいいような気がします。

 

それなのになぜ、人によって意見をコロコロ変え、媚びる人がいなくならないのでしょうか。

 

 

それは、仕事をする上で、自分を売るのが必要なことだからです。

 

 

私たちは、「拘束されている時間」や「指示通りの仕事」、「我慢」への対価として報酬が支払われている

と考えがちですが、本来はそうではないはず。

 

自分の価値を会社に売っているからお金をもらっているのです。

自分が会社に何を提供できるかを考えて行動し、提供できることをプレゼンしなければなりません。

これを分かっていなければ、いつまで経っても評価はもらえません。

 

 

 

そもそも、なぜ今の職場にいるかというと、

就職活動で自分を売りこんで、買ってもらったからです。

1度買ってもらったら終わり。

ではなくて、自分の会社への価値は置かれている環境や努力次第で変わっていきます。

 

 

なかには価値が衰退している人もいるでしょうが、ほとんどの人は前進しているはず。

その都度、自分を売っていく必要があるんです。

 

 

そして、買われるために気に入ってもらわなければならない。 

 

 

そういう構造になっています。

媚びる人は、自分を売らないといけないことに気づいているからこそ、積極的に営業しているということです。

 

 

そういう意味では、媚びることは大切です。

 

媚びを売ることに嫌悪感がある人の中には、

自分がアピールできないことを言い訳に、アピールできる人に嫉妬していることがあります。

自分からアピールしないと仕事ぶりを見てもらえることはないので、嫉妬や恥を忘れるまで仕事をがんばり、自分を売っていかなければなりませんね。

 

 

 

ただ、自分を売るときにやってはいけないことがあります。

それは、中身スカスカの商品を売ること。

 

本来の自分よりも大きく見せたり、本来とは違う姿をセールスしたりするのは、悪徳商法と同じ。

買ってくれる人をだますことになので、問題です。

 

・誰かがやったことを自分がやったと言う

・誰かが言っていたことをそのまま自分の意見として流す

・考えていなかったことを自分もそう思ってましたと言う

・ちょっと手をつけただけで、完璧にできたかのようにふるまう

・思ってもないのに褒めちぎる

 

嘘をついたり、拡大解釈するのはよくありません。

 

媚びてしばらくの間は、恩恵にあやかれるでしょう。

しかし、嘘のツギハギをした状態で仕事をもらっても、仕事が思うように進まず、周りに迷惑がかかります。

そうなれば能力不足はバレることになるのです。

 

「あの人の言うことは信頼できない」と評判になり、大事な仕事をふってもらえなくなります。

 

他人の力だけではなく、自分の力で勝負できなければ、本当に手に入れたいものは手に入りません。

 

 

 

なぜ媚びに騙されるのか

媚びを売る人がいれば、買う人がいるもの。

なぜ、悪質な媚びを買ってしまう人がいるのでしょうか。

 

理由としては、

上の立場の人ほど本音で話せる人がおらず、孤独感を埋めるために承認欲求を満たしてくれる媚び売りマンを買うというのがあるでしょう。

 

孤独になるのは、自分から本音を聞き出そうとしたり交流を持とうとしないからです。

 

情報弱者が悪徳商法にだまされるように

自分から情報を集めていかない人は、良質なものを見定める力がつきません。

 

受け身で得られる情報しか受け取らないため、

個人的に営業をかけるだけで、質の悪いモノでも買ってしまうんです。

 

人を見る力がある人は、1対1で全員と平等に面談する時間をつくっています。

 

 

媚び売りマンが融通されやすい職場なら、全員と面談の時間を設けてもらうよう、提案するのも手ですね。

 

 

媚びを売りたいも媚びを売りたくないも根本は同じ

媚びを売る人も、媚を売りたくない人も、人に好かれたい・嫌われたくない思いが根本にあります。

 

だからこそ、これは媚びになるかな?と身動きが取れなくなってしまったり、

平等を意識するがあまり、不器用な仕事しかできなくなってしまったりするんです。

 

媚びを売る人が何かを演じているのはもちろんですが、

媚びないように気をつけている時点で、それも何かを演じているわけです。

 

『媚びずに自然体で』は、よく聞く言葉ですが、媚びている人・媚びないようにしている人、果たしてどちらが自然体なんでしょうか。

 

みんな環境に合わせてキャラクターを変えているもの。

「あの人、媚びを売ってる」と思われたって、仕方ありません。

自分の信じていることがブレなかったら、いいのではないでしょうか。

もっと肩の力を抜いて、気楽に捉えていいような気がします。

 

 

私たちはどうしたらいいか

媚びの定義が広すぎるので、場合によっては媚びるのも悪いことではないでしょう。

 

媚びようとしなくても、全員に話を聞いてもらうためには、態度を変えることも必要だからです。

 

ですが、人をだますのは良くありません。

 

「自分の力は使わず、他人の力だけでどうにかしよう」

という考えは、必ずどこかでつまずいてしまいます。

 

ごく狭いコミュニティでの評価を求めるのではなく、社外でも通用する自分の価値を高める方法を考えていけるといいですね。

 

 

 

 

みんなに平等に接していても返ってくる反応は十人十色。

 

みんな生きてきた環境がちがうのだから、同じ態度と同じ言葉を使っても

同じようには動いてくれないのが現実です。

 

それでも平等でいたいのなら、

こちらの伝え方を平等にするのではなく、相手の受け取り方を平等にそろえると思うと楽になるでしょう。

 

自分の考えや基になるところが一貫していれば、人によって言葉や伝え方の雰囲気を変えたっていいんです。

 

 

 

 

 

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